就職、転職、転勤など、4月から新しい職場に変わった方も多いのではないでしょうか。仕事は徐々に慣れていくかもしれないけれど、なかなか慣れないのが人間関係・・・。あなたの周りに「生理的に無理」な人はいませんか?
今回は「生理的に無理」の背景にある心理状態について探っていきましょう。

「生理的に無理」とは具体的にどういうこと?
よく使われる「生理的に無理」という言葉ですが、これは具体的にはどんな意味なのでしょうか。
私たちは、普段「あの人は優しいから好き」「あの人はしつこいから嫌い」というように、何らかの理由を持って、そこから好き嫌いを判断しています。
ただ、場合によっては、言葉で言い表せないけれど、「何だかあの人、嫌・・・」といった印象を持つこともありますよね。
この「理屈に関係なく受け入れられない」という状態を、「生理的に無理」という言葉で表すことが多いです。
特に「嫌い」という場合は、何がどう嫌なのか、一言で説明できないことも多くあります。そんな時、表現するのにちょうど良い「生理的」の言葉が使われるのです。
「生理的に無理」の心理的背景は?
それでは、「生理的に無理」の心理的背景には、どんなものがあるのでしょうか。
一般的には、自分自身の「ここが嫌」と思っているものを、同じように持っている人を嫌いになると言われています。
例えば、性格や容姿など自分がコンプレックスだと感じている部分を、相手も持っている場合、その人のことを好ましくは思わなくなります。
また、逆に自分が達成できていない夢を叶えているなど、自分が持っていないものを持っている場合にも「生理的に無理」と感じやすくなります。
このことから、「生理的に無理」の背景には自身のコンプレックスが関係していることがわかります。ただ、それを突き詰めていくと本当の自分の嫌な部分を思い起こし、苦しむことになるので、人は「生理的に無理」という言い方で自分から現実を遠ざけようとするのです。
また、それ以外に身につけている洋服が汚れていたり、爪が黒くなっていたりなどの見た目の要素も「生理的に無理」の原因になりえます。清潔感は社会人にとっても大切ですので、身だしなみにも気を遣うようにしてくださいね。
周りに「生理的に無理」な人が多い・・・その理由は?
周りに「生理的に無理」な人が多いなあと思っている方は、もしかすると、相手のネガティブな部分を気にしやすい傾向があるのかもしれません。
心理学の研究では、自己肯定感を上げることで、相手を生理的に無理と感じる傾向が少なくなることが分かっています。自己肯定感とは、自分の存在をありのままに受け入れられる感情のことを言います。
では、自己肯定感はどのようにすれば高められるのでしょうか。
1、自分のコンプレックスを受け入れる
多かれ少なかれ、誰しもコンプレックスは持っているもの。コンプレックスを持っていても、「それも自分なのだ」と受け入れ、ありのままを認めようとする意識を持つことが大切です。また、コンプレックスを払拭できるよう努力することも有効です。
2、自分を肯定してくれる人と接する
ほめてくれたり、自分を認めてくれたりする人と接すると、自己肯定感が高まります。ですので、自分を肯定してくれる人と積極的に接するようにしましょう。また、人からほめられた時には決して否定せず、素直に受け取るようにしてくださいね。
3、ノートや手帳にその日自分が頑張ったことやプラスの出来事を書き込む
どんな小さなことでも構わないので、自分がその日頑張ったことや、良かったことなどをノートや手帳に書き込んでみましょう。思っていることを文章化することで、はっきりとプラスの出来事を認識することができます。また、落ち込んだ時や、悩んだ時にそのノートを見返すことで、自分を肯定できるようになります。
自分を認めることができるようになれば、人を許容できる範囲もきっと広がるはずです。
自分の「生理的に無理」を分析してみよう!
頻繁に顔を合わせなくて済むなら、悩まずにすむかもしれませんが、職場などでは、「生理的に無理」と思っていても、毎日避けるわけにはいきませんよね。
ですので、ここではあえて、あなたが「生理的に無理」と思う理由を分析してみましょう。
分析することで、人間関係も円滑にいきやすくなるかもしれません。
- 以下の表の「○○さん」の部分にあなたの嫌いな人を当てはめてみてください。
- あなたが人の好き嫌いを判断する時に重視する項目を、「あなたが考える重要度」のところに1~5の5段階で評価をつけてください。
- 「○○さんの評価値」の欄に、それぞれの項目に対する○○さんの評価値を2と同じく1~5の5段階で評価をつけてください。
※嫌いな人なので、全て1とつけたくなるかもしれませんが、 出来るだけ公平に評価するようにしてくださいね。 - 表の通りに2つの項目の数値を掛け合わせて、合計を出してください。

さて、どのような結果が出ましたか?あなたが重要視している項目のポイントが低いほど、合計の点数も低くなります。
職場の人でなくても構わないので、あなたの周りにいる「なんとなく受けつけない人」を2人以上当てはめて考えてみると、あなたが「生理的に無理」と思う人の傾向が分かってきます。また、「生理的に無理」ではない、あなたの身近にいる人たちのことも何人か診断してみると、「生理的に無理」な人との違いが見えてくるでしょう。
今回は、「生理的に無理」の背景にある心理状態や、「生理的に無理」の分析方法についてご紹介してきました。「生理的に無理」と思うことは、人間の本能なので完璧になくすことはできませんが、今回ご紹介したことを参考に、「生理的に無理」と感じる機会を減らせるようになれるといいですね。
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ライター紹介:かたこりこ
大学では心理学を専攻。卒業後は、ラジオ番組の原稿やフリーペーパーの執筆、教科書系出版社勤務などを経て現在に至る。趣味は読書、映画・お笑い鑑賞。東京都出身。冬生まれだけど、寒いのは苦手です。