
どんなにポジティブな人でも、ネガティブな気持ちになったことのない人はいないでしょう。では、ネガティブ思考に陥った時、あなたはすぐに立ち直ることができますか?今回は、ネガティブ状態になった時にどうしたら前向きになれるかについて一緒に考えていきましょう。
ネガティブ思考を引きずらないためには○○が大切!
何事も悪く受け止めてしまい、愚痴が止まらなかったり、常にくよくよしたりしている人は、あなたの周りにいませんか?もしかしたら、「私(僕)がそう…」なんて思っている人もいるかもしれませんね。ネガティブな人は、関わる相手にも暗い気分にさせてしまいますし、印象も悪くなりがちです。そのため、人間関係がスムーズにいかなくなることも…。
そうならないためにも、ネガティブ思考に陥った時には、すぐに気持ちを入れ替えられるようにしておきたいものですよね。そのために大切なのが「心の回復力」です。
心の回復力は、失敗や挫折などをした時に立ち直る力のこと。心理学用語では「レジリエンス」と言います。落ち込んでネガティブ思考になった時に、それを引きずらずに、立ち直って前向きになれる人の方が心の安定感が高いと言われています。
例えば、後輩が自分より先に昇進してしまった場合、あなたならどう考えますか?
心の回復力がない人は、「私だって仕事頑張っているのに、なんであの子の方が先なの?」とくよくよ悩みます。
心の回復力がある人は、「先を越されてしまったのは悔しいけれど、自分も負けないようにこれまで以上に努力しよう」と考えます。多少落ち込んだとしても、その後で、自分自身と向き合って考えることができるので、結果的に成長することができるのです。
心の回復力は鍛えられる!?
身体同様、心も鍛えることができます。では、どうやったら鍛えられるのでしょうか?順を追って見ていきましょう。
1、ネガティブな感情を自覚しよう
ネガティブな感情を持った時に自分自身できちんとそれを自覚することが大切です。
まずは、あなたが持ったネガティブな気持ちに名前をつけてみましょう!
「怒り」「悲しみ」「不安」「羞恥心」「怖れ」…など目に見えない感情に名前をつける「ラベリング作業」をしてみてください。もやもやした気持ちに名前をつけることによって、その気持ちの正体が分かると、落ち着きやすくなります。
ですが、自分の感情に名前を付けても気持ちがすっきりしない場合、もしかしたら、あなたの心の中には、思い込みのパターンがあるのかもしれません。
先ほどご紹介したレジリエンス(心の回復力)のトレーニングでは、代表的な思い込みを7種類に分類し、それらに「犬」の名前をつけています。


いかがでしょうか?あなたは心の中に、思い込み犬を飼っていそうですか?
心の中にある自分の思い込みのパターンを知ることで、無意識のうちに繰り返しているネガティブ感情にも落ち着いて対処できるようになります。
もし、思い込み犬が吠えそうになったら、「よしよし」となでてあげて、手なずけようと意識するだけで気持ちのコントロールがきっとしやすくなりますよ。
2、ネガティブな感情が湧いてきたら、その日のうちに解消しよう
怒り、悲しみ、不安、不満……このようなネガティブな感情は、そのままにしておくとそのうちに気持ちだけでなく、思考や行動まで後ろ向きになってしまいます。ネガティブな感情が湧いてきたら、できるだけその日のうちに解消するようにしましょう。
ここでは、ネガティブな感情を解消する方法をお伝えします。
・運動する
有酸素運動には、ストレスや不安を軽減する効果があると言われています。日々の生活にウォーキングなどを取り入れてみるのがオススメです。
・音楽を聴く
音楽を聴くことで、ドーパミンの分泌が増え、高揚感が高まります。ドーパミンは神経伝達物質で、快感や多幸感を得たり、意欲を感じたりする機能を担う脳内ホルモンです。
ネガティブになった時には自分の好きな音楽を聴くようにしましょう。また、楽器の演奏が出来る方は、演奏することでも良い気晴らしになります。
・気持ちを書き出す
普段は人に言えないような気持ちを、紙に書き出してみましょう。「書く」行為には、気持ちを整理したり、落ち着かせてくれたりする効果があります。
・呼吸を意識する
人はネガティブな感情を抱くと、呼吸が浅くなったり乱れたりします。不安や怒りを感じた時には意識的に深い呼吸をするように意識してみましょう。呼吸が整うことで、脳から感情や気分のコントロールや精神の安定に深く関わる神経伝達物質であるセロトニンが分泌されるので、気持ちが落ち着きます。
3、自分の自信を高めよう
ネガティブな感情を抱えた時には「やればできる!」という自信をつけることも大切です。自信を高められる以下の4つの方法をぜひ試してみてくださいね。
・実体験を重ねる
自分の目標に向かって必要なことは積極的に行うようにしましょう。例えば、職場などで行うスピーチが苦手な人は、最初は少ない人数の前で話すことから始めてみましょう。そこで小さな成功体験を積み重ねていけば、次第に大人数の前でも話すことができるようになるはずです。
・お手本になるような人を見つける
自分にとってお手本となるような人を探してみましょう。自分に近い立場の人が、困難なことを乗り越えた時には、「あの人が乗り越えたのだから、自分もできる!」と思えるようになるはずです。
・周りの人に励ましてもらう
例えば、新しい仕事にチャレンジする時など、誰か励ましてくれるような人を見つけましょう。同じ職場の人でもいいですし、仲の良い友人や家族でも構いません。「○○ならできる」と背中を押してもらったり、成功をした時には「おめでとう」と喜んでもらうことによって前向きな気持ちになり、自分に自信もつきます。
・ポジティブになれるように動く
ネガティブな感情が湧いたら、テンションの上がる音楽を聴いたり、お気に入りの洋服を着るなど、自分がワクワクできるようなことを試してみましょう。気持ちが高揚して、ポジティブな気持ちになります。
4、サポーターを見つけよう
失敗や困難にあったときに、一人で立て直すのは難しくても、周りの人が励ましてくれたり、アドバイスしてくれたりすると前向きになれることってありますよね。家族や友人など、そうしたサポーターがいることで心の支えになります。
それでは、どんなサポーターがいると良いのでしょうか。
・不安や悩みを相談できる
不安や悩みは抱え込むとどんどん暗い気持ちになっていきます。家族や友人、同僚など対等な立場の人に相談することで、共感し合うことができます。
・一緒にいると安心できる
家族や恋人など、一緒にいるだけで安心できる存在がそばにいることで、つらいことがあっても前向きに進もうという気持ちが湧いてきます。
・役に立つ情報をくれる
情報通の会社の同僚、顔の広い友人など、役立つ情報をくれる存在は貴重です。自分では思いつかないような解決策を提示してくれ、問題解決につながることもあるでしょう。
一般的にはこれらのサポーターが5人以上いると心の支えになると言われています。
5、日頃から感謝の気持ちを高めよう
「感謝」には、ネガティブな気持ちを緩和させる効果があります。また、感謝できたことを思い出すだけで、ポジティブな気持ちになりやすくなります。早速、感謝の気持ちを高める方法を見ていきましょう。
・感謝の日記をつけてみよう
1日を振り返ってみて、感謝できたことを日記として書き出してみてください。考えて文字にすることで、感謝したことを思い出せるので、ポジティブな気分になります。
・いいことを3つ思い出してみよう
新しいことにチャレンジしたり、苦手なことをしなくてはいけないというプレッシャーを感じる時には、今まででうまくいったことを3つ思い出してみてください。ネガティブな感情を打ち消しやすくなります。
・手紙に感謝を記そう
過去にお世話になって、感謝の気持ちを伝えたい人に手紙を書いてみましょう。自分がどんな親切を受け、どう変わったのかを手紙を書くことで再認識することができます。この場合は、手紙として書くことが大切なので、相手に実際に渡さなくても大丈夫です。
他にも、過去に不安を感じた時に自分がどう立ち直ったのかを振り返ってみると、次に活かすことができますよ。
今回は、ネガティブな感情が生まれた時に前向きになる様々な方法についてご紹介してきました。ぜひ参考にして、あなたの「レジリエンス」を鍛えていってくださいね。
<参考書籍>
OZ plus 2015年 05月号「心地いい、気持ちいい ココロとカラダ」スターツ出版
ライター紹介:かたこりこ
大学では心理学を専攻。卒業後は、ラジオ番組の原稿やフリーペーパーの執筆、教科書系出版社勤務などを経て現在に至る。趣味は読書、映画・お笑い鑑賞。東京都出身。冬生まれだけど、寒いのは苦手です。